熱の力でまつげにカールを付ける「ホットビューラー」。その使用率は徐々に増えていて、地域によっては4人に1人がホットビューラー使用という地域も出てきています。でも「まだ使ったことがない」という人も多いですし、「毎日使っている」という人でも意外と基本的なポイントを知らなかった…というケースがあるようです。今回はホットビューラーの効果やデメリット、選び方といったよくある疑問について解説をしていきます。
ホットビューラーの種類
まずはホットビューラーの種類について知っておきましょう。
カーラータイプのホットビューラー
「カーラータイプ」というと、髪を巻くカーラーのような丸いタイプに聞こえますよね。でも実際には、通常のビューラーに似た形をしたものを「カーラータイプ」と呼んでいます。カンタンに言えば「まつげを挟んで上に上げるタイプ」ですね。元々のホットビューラーはこちらの「カーラータイプ」が主流だったのですが、幅を取ること、持ち運びに不便なことなどから、最近ではやや製品の数が少なくなっています。
スティックタイプ/コームタイプのホットビューラー
名前の通り、形状が棒のようになっているタイプです。スティックタイプのホットビューラーの使い方は従来のタイプとは異なり、コーム部分でまつ毛を優しく抑えるようにしながらカールを作っていきます。現在ではこちらの「スティックタイプ/コームタイプ」が主流となり、幅広い製品が販売されるようになっています。
ホットビューラーの効果・メリット
一躍人気アイテムとなったホットビューラー。今では「ホットビューラー無しではメイクができない」という人もいるそうです。ホットビューラーには、従来のビューラーとは違うどんな効果があるんでしょうか?
まつげのカールが長持ちする
何よりも大きなメリットはコレ!通常のビューラーでいくらまつげを押し上げても、お昼ごろにはまつげが下がってきてしまう…という人でも、ホットビューラーで熱を加えればキレイなカールがキープできます。
特に湿気の多い日や雨の日等には、まつげが下がってきやすいもの。暑い日・どしゃぶりの日等、四季折々で天候が変わりやすい日本では、ホットビューラーは特に重宝されるアイテムなんですね。
短いまつげでもカールしやすい
通常のビューラーの場合、まつげのカールの付け方は根元・中間・毛先…と何点かに分けつつビューラーでまつげを押し上げるというものですよね。でも自まつげが短い人だと、ビューラーでの癖付けがキレイに行えず、根元だけが立ち上がったようなまつげになってしまうことも。
でもスティックタイプのホットビューラーであれば、「はさむ」というプロセスの必要がありません。細かい部分にもコームが届きやすく、まつげが短い人でも自然なカールが付けられます。
まつ毛が抜けにくい
従来のビューラーで大きな問題となっていたのが、「まつ毛を挟んで引っ張る力」によるまつ毛へのダメージです。「細いまつ毛がよく抜ける」「まつ毛が全体的に短くなった気がする」…そんなまつげトラブルの実に70%近くが、従来のビューラーによる負担によるものとも言われています。
従来のビューラーでまつげを引っ張る力は、1年間分(約360回の使用)で換算するとなんと「170キロを持ち上げる力」になるのだそう。170キロといったら、人間約3人分!それを細いまつげで持ち上げようとしているのですから、まつげが切れたり抜けてしまうのは当然とも言えますね。
従来のビューラーでまつげを引っ張り続ければ、まだ抜けないはずのまつげが抜けたり、途中でちぎれてしまうことになります。まつげの生え変わりサイクルが乱れて、まつげ全体が細くなったり、短くなってしまうんです。
でもホットビューラーの場合、力任せに引っ張り上げるようなプロセスは必要なし。熱の力でカールを付けられるから、「引っ張る」「強く押し上げる」といった力を加えなくてOKなんです。そのため通常のビューラーよりもまつげが抜けにくく、まつげへの負担を減らしやすくなります。
ホットビューラーのデメリット
嬉しいメリットがたくさんあったホットビューラー。でも実は、意外と欠点(デメリット)も多いんです。
費用がかかる
ホットビューラーの価格は、平均2,000円~3,000円前後。10年前に比べれば製品価格は値下がりし、現在では1,000円台の安いホットビューラーも登場するようになっています。とは言え、通常のビューラー/アイラッシュカーラー(最安100円~平均1,000円未満)に比べれば平均価格は高め。特に「急速に温められる」「繰り返し充電できる」といった性能の高い製品になるほど、お値段が上がる傾向にあります。
ランニングコスト(電気代・電池代)にも注意
初期費用だけでなく、日々の利用に必要なコストがかかるのもネックのひとつと言えるかもしれません。ホットビューラーの使用では「熱」を生み出すために、意外と多くの電力が消費されるんです。
乾電池式の場合、100円均一店等で4本~5本で売られている安い乾電池だと「2回目でもう温まらない!」というケースも聞かれています。メーカー製の乾電池ですともう少し長く利用できますが、それでも週1ペースで乾電池を使い切ってしまう人が少なくありません。
また充電式のホットビューラーの場合、内蔵されているリチウム電池(もしくはリチウムバッテリー)の取替ができないものだと、経年劣化で徐々に充電できる量が減っていきます。携帯電話等に使用されている上質なリチウムバッテリーでも、毎日充電すれば1年半(18ヶ月)の使用で充電可能な量は最初の50%にまで落ちるのだとか。安価なホットビューラーの場合だとバッテリーの性質が良くないため、更に劣化が早くなってしまうんです。つまり「1年単位でホットビューラーを買い換える」という必要が出てくる可能性もあるんですね。
時間がかかる
コンセント式のヘアアイロン等に比べて、乾電池式・充電式のホットビューラーはまつ毛を曲げられるほどの熱を発生させるまでに時間がかかります。国産メーカー式のホットビューラーの場合には「数秒で発熱」といった超スピードタイプのものもありますが、安価なタイプだと3分~4分以上の時間を必要とするものも。
朝のメイクの際にはホットビューラーを先に温めておいて、適度に温度が上がってから使う必要があります。またメイク直し等の際にも、先にビューラーを温めて、その間に他のメイク直しをするといった順番の工夫が要りますね。
スティックタイプは慣れが必要
従来型のビューラーとスティックタイプのホットビューラーは根本的な考え方がまったく異なるため、初心者の方だと戸惑う方も多いようです。ホットビューラーに切り替えたもののうまく使いこなせず、結局まつげが下がってしまう…というケースも聞かれます。特にメイク自体に慣れない方、手先が不器用という方の場合、キレイにまつげをカールさせられるまでに時間がかかる可能性も考えられます。
失敗すると「やけど」の危険も
「ホットビューラーで火傷(やけど)をする」というと、意外に思われる方も居るかもしれませんね。たしかに、ホットビューラーはヘアアイロンのように100℃を超えるような超高温設定にはなっていません。製品によっては「触って温かいくらいの温度」にしているものもあります。
しかし中には「しっかりカールができる」という強みを示すために、設定温度を「70℃」にしているものもあります。高温で一気にクセ付けができるのはメリットと言えるかもしれません。でも70℃の熱がごく薄いまぶたの皮膚に触れれば、最悪の場合にはケロイドが残るような大やけどとなる可能性もあります。不安定な体勢で使用をしない、無理に根元に近づけないといった安全対策を取る必要があるんです。
まつげが乾燥する・ダメージがある
通常のビューラーのような「引っ張られる負担」が無いのが魅力のホットビューラー。でも残念ながら、まつげへのダメージが無いわけではありません。熱によるダメージで、まつげが傷んでしまうんです。
ヘアドライヤーやヘアアイロンを毎日使っていると、髪のパサつきを感じませんか?これは「髪の元」であるタンパク質がドライヤー等の熱によって変質し、キューティクルが剥がれるために起こるもの。キューティクルが剥がれた髪は水分を維持できなくなり、徐々にパサついて艶やかさや弾力を失っていきます。切れ毛や枝毛が増え、まとまりにくい髪になってしまうんです。
まつげの場合も、実はこれと同じ。まつげを構成するタンパク質も、実は熱には強くありません。繰り返して熱のダメージを受けることでまつげが細くパサパサになったり、途中で切れるまつげが増えたり…中には自まつげが弱くなりすぎて、まつげエクステが付けられないほどになってしまう人もいます。
また乾燥して傷んだことで、まつげはなかなか美しいカールを作れなくなっていきます。そのため、余計にビューラーを使う時間が長くなることに。熱を受ける時間が増えて、更にまつげが傷んでしまう…という悪循環にもなりやすいんです。
ホットビューラーについてのよくある疑問
スティックタイプ/カールタイプのどちらを選べばいい?
ホットビューラーの選び方では、ビューラーを使う頻度、まつげの長さ、目の形等から選ぶことをおすすめします。
【使用頻度】
・家で朝使うだけ→スティックタイプ/カールタイプどちらもOK
・持ち歩いてメイク直しにも使いたい→コンパクトなスティックタイプ
【まつげの長さ】
・まつげが長い→カールタイプ/スティックタイプどちらもOK
・まつげが短い→根元から上げられるスティックタイプ
【目の大きさ(横幅の長さ)】
・目が大きい(横幅がある)→カールタイプ/スティックタイプどちらもOK
・目が小さい(横幅が狭い)→カーブの長さを選ばないスティックタイプ
【目の形】
・目が二重→カールタイプ/スティックタイプどちらもOK
・目が一重/奥二重→根元からカールさせやすいスティックタイプ
【メイク慣れ】
・アイメイクをよくする、手先は器用→スティックタイプ
・アイメイクに慣れない、手先に自信が無い→従来のビューラーに近いカールタイプ
【メイク時間】
・メイクにある程度時間をかけられる→カールタイプ/スティックタイプどちらもOK
・ほぼノーメイク、時短メイクが多い→短時間で温められる製品が多いカールタイプ
製品を選ぶポイントは?
「どのホットビューラーが良いか」は、まつげの長さ・目の大きさ・毛質等の相性もあるため一概には言えません。でも毎日の使用を考えると、以下の点をよくチェックしておいた方が快適に使えますよ。
【お手入れ方法はカンタン?】
ホットビューラーは、製品によっては本体掃除がかなり面倒なものがあります。でもお手入れをサボるとカールがキレイにつかないだけでなく、まつげに雑菌が付いてしまうのが問題!最悪の場合、目の炎症の原因となってしまうことがあります。「コーム部分を取り外して洗える」「取り外しがカンタン」といったお手入れ部分の説明をよく確認しておきましょう。
【電力タイプは?】
・乾電池式:とにかく手軽なのが魅力。製品の価格も安めです。ただ上で説明したとおり、電池の消費はかなり早いので注意!「エネループ」等の充電式乾電池を別途用意して、繰り返し使った方が費用は抑えられます。
・充電式:充電時間がどの程度かをよくチェックしましょう。「Panasonic」等の国産メーカー製品の場合には急速充電ができるものもありますが、安価な製品だと充電に意外と時間がかかります。また充電が終了したお知らせマークがきちんと出るかも要チェック。充電しっぱなしの状態にするとバッテリーに負荷がかかり、電池の劣化が早くなると言われています。
マツエクにも使えるの?
まつげエクステをした場合、通常のビューラーをするのは厳禁。引っ張る力でグルー(接着剤)が外れたり、マツエクが折れてしまうこともあります。「でもホットビューラーなら、引っ張らないから大丈夫!」と説明しているサイトもあるのですが…残念ながら、ホットビューラーの使用もあまりおすすめはできないんです。
まつげエクステのグルーは、高温への耐久度はそれほどありません。また高熱を受けることでエクステ(つけ毛)が変質し、形が歪んでしまうことも考えられます。せっかく付けたマツエクが取れやすくなる・形が悪くなることが多いんです。マツエク後にホットビューラーをどうしても使いたい場合には、「根元の部分だけ」にほんの少しだけあてること。また毎日は使用せずに、特別な時だけに使うといった「限定使用」にした方が無難です。
おわりに
手軽にカールまつげが作れるホットビューラー。でも「毎日のように使っていたらまつげがパサパサになってしまった」「まつげが切れ始めた」という人も多いので、使用には注意が必要ですね。
まつげエクステでしっかりとカールが付いたもの(Cカール・Dカールやアップワードラッシュ等)を使用すれば、ビューラーを使用しなくてもまつげ全体が上がったように見えます。またホットビューラー等の負担がなくなることで、自まつげの切れ/乾燥といったトラブルが改善するケースもあるんです。「ホットビューラーでのまつげダメージが心配」「ホットビューラーがうまく使えなくて、カールが作れない」という方は、一度まつげエクステでナチュラルなカールまつげを作ってみてはいかがでしょうか?