クルンとしたキレイなカールができるのが魅力の「まつげパーマ」。最近では自分自身でまつげパーマをする「セルフまつげパーマ」のキットも販売されるようになり、注目を集めています。でも中には「セルフまつげパーマで失敗してしまった」「こんなはずではなかった」という人も居るようです。セルフパーマで失敗をしないためには、まつげパーマの長所だけでなく短所や注意点も知っておくことが大切と言えるでしょう。ここではセルフまつ毛パーマのメリットやデメリット、失敗をしないためのポイントについて解説していきます。
セルフまつげパーマのメリット
すっぴんでもキレイなカール
まつげパーマをかけておけば、お化粧を取った後でもナチュラルなカールを維持できます。「ビューラー+マスカラ」でカールを作っておくのとは違い水に濡れてもカールが落ちないので、スポーツや汗をかくシーンにもピッタリです。海やプールに行く時、旅先等ですっぴんを見られる時等にも「キレイに上がったまつげ」がキープできるのは嬉しいですね。
メイク時間を短縮できる
まつげパーマでナチュラルなカールを作っておけば、メイク時のビューラーの時間もカットできます。何かと忙しい朝、少しでも「時短メイク」にしたい人にとっては助かるポイントです。
施術後のお手入れがラク
「まつげエクステ」の場合、施術後にはエクステを落とさないために「クレンジング剤ではオイル成分の多いものを避ける」「うつぶせ寝をしない」といった注意事項を守る必要があります。でもまつげパーマの場合には、「絶対NG」というようなお手入れの禁止事項はありません。クレンジングオイルやクレンジングシートを使ったお化粧落としをしてもパーマの落ちはあまり変わらないので、「いつもどおりの手軽なスキンケアを続けたい」という人にも向いています。
コストパフォーマンスが良い
セルフまつげパーマの最大のメリットとしては、コストパフォーマンスの良さが挙げられるでしょう。まつげパーマ用のキット(ロット・液剤・カールスティック等のセット)の平均価格は、2,000円~3,000円程度。ロットやカールスティック等の器具はキレイに洗えば繰り返し使えますし、消費するグルーや液剤は単体で1,000円程度で購入できます。「美容にあまりお金をかけたくない」「節約したいけど、きちんとまつげをキレイにしておきたい」という人にとって魅力的なポイントですね。
セルフまつげパーマのデメリット
まつげが折れ曲がることがある
ロットとまつげのサイズが合っていなかったり、グルーでロットにまつげを接着する時に向きがキレイに整っていないと、まつげが途中で折れたような仕上がりになってしまいます。特に「細かい作業が苦手」という人や「メイクに慣れていない」という人の場合、まつげを整える作業がうまくいかずに仕上がりに不満が残ることも多いようです。
まつげが縮れることがある
まつげパーマは強アルカリ性の成分で毛の繊維(キューティクル)を一度破壊し、カールを付けて固める方式を取っています。しかし以下のような場合には破壊された繊維が元に戻らず、細かく縮れた状態になってしまうのです。
1)放置時間が長すぎる場合:塗布に時間がかかりすぎて総計した放置時間が長くなりすぎたり、「パーマをしっかりとかけたいから」と規定時間より長く置いてしまうと繊維の破壊が進んでいまいます。
2)まつげが傷んでいる場合:まつげパーマを繰り返していたり、頻繁なビューラーやマスカラ等の使用でまつげのキューティクルが傷んでいる場合、規定時間の使用でもパーマ成分による刺激が強く出てしまうことがあります。
3)まつげが元々細い・弱い場合:健康状態や体質によってまつげが元々細い人の場合や下まつ毛等へのパーマ使用の場合、パーマ液による成分の浸透が標準的な太さのまつげに比べて早く進んでしまうことがあります。
専門知識を持ったアイリストによる施術であれば、現在のまつげの状態や個人によって異なるまつげの太さに合わせ、放置時間を調整するといった対応をすることも可能でしょう。しかし「セルフまつげパーマ」の場合、まつげの状態を見るのは自分自身です。専門知識が無い人がまつげの状態を正確に把握することは難しく、「縮れまつげ」が生まれてしまう可能性も高くなります。
理想通りのデザインになりづらい
美容院(ヘアサロン)で髪のパーマをかけた時に、「仕上がりがイメージと違った」という経験はありませんか?同じロッド・同じパーマ液を使って同程度の放置をさせた場合でも、個人の毛質や髪のダメージによってパーマの仕上がりは異なってしまうもの。これは「まつげパーマ」についても同じです。
元々のまつげのカールが比較的しっかりとある人の場合、大きめのロットで巻いてもまつげが上がりすぎてしまい、華やかになりすぎてしまうこともあります。反対にまつげの状態がほとんどストレートであったり、まつげの痛みが激しい人の場合にはパーマのかかりが悪く、考えていたよりもカールが付いてくれないことも多いです。「こうなりたい!」という希望に近いデザインをセルフパーマで作れるかどうかは、賭けに近いところがあります。
失敗した時の「やり直し」がきかない
折れ曲がり、向きのバラ付き、カールのかかり具合…このような「仕上がりの不満」が生まれた場合でも、「まつげパーマ」の場合にはやり直し施術をすることがおすすめできません。髪の毛に比べてとても細いまつげは、そもそも強アルカリ性のパーマ液による刺激にあまり強くないのです。短期間に繰り返しパーマ施術を行えばダメージが蓄積され、最終的には「まつげの縮れ」や「切れまつげ」を生んでしまうことになります。
特にパーティー・ブライダル等、近々キレイなまつげをお披露目するスケジュールが組まれている場合には、「希望通り」のスタイルが作りやすい「つけまつげ」や「まつげエクステ」といった方法を取った方が無難です。
「まつげの長さ」は変わらない
当然のことではありますが、パーマをかけてもまつげ自体の長さには変わりはありません。特にカールを強くかけた時には、自まつげが却って短く見えてしまうこともあります。「まつげのボリューム感・ロング感を出したい」という人の場合、まつげパーマをかけた上で、更にマスカラ等でメイクをする必要が出てくるわけです。ビューラーをかける時間は短縮できますが、「アイメイクの短縮」という意味では「ビューラー+マスカラ」を全面的に省略できる「まつげエクステ」の方が時短メイクに向いていると言えます。
徐々にパーマがかかりにくくなる
まつげパーマの維持期間は平均1ヶ月~2ヶ月程度です。ただメイクをよくする人の場合にはマスカラの重さ等でパーマが落ちやすく、3週間程度でパーマが取れてきてしまうこともあります。また「パーマが落ちたから」といって何度も繰り返しまつげパーマをかけていくと、徐々にまつげの痛みが蓄積され、パーマがかかりにくく、取れやすくなっていきます。
まつげが痛みやすい
髪のパーマをした時に、髪がゴワゴワしたり切れ毛が増えた…という人も多いはず。パーマ液にはアンモニア等の強アルカリ性成分が使われており、まつげや髪の毛等の構成成分であるタンパク質(ケラチン)などの細胞の繋がりを破壊していきます。毛に対する負担はビューラーやマスカラ等に比べても強く、切れ毛や抜け毛が増えたり、毛が細くなるといったまつげのトラブルが生まれる原因となりやすいのです。
皮膚・眼球の炎症が起きることがある
まつげパーマ液には刺激の強い成分が含まれています。また顔の皮膚は体や頭皮に比べて薄く刺激を受けやすいのですが、まぶたの皮膚は中でも特に薄くわずか0.1mm程度しかありません。そのためパーマ液が皮膚に付着したり、揮発した成分に長く触れていることで、赤み・痒み・爛れといった炎症が起きる可能性があります。
またパーマ液が眼球に入った場合には結膜炎等の目の病気が起こりやすく、最悪の場合には視力の低下・失明といった重篤なトラブルが起きる可能性も考えられます。近年では国家資格(美容師資格)を持っていない違法なまつげパーマサロンで目のトラブルが起きるケースが多数報告されており、まつげパーマの安全性が見直されているのが現状です。「素人施術」であるセルフまつげパーマの場合、このような危険性が非常に高くなることは予め考慮しておいた方が良いでしょう。
セルフまつげパーマを失敗しないためには?
生理中・体調不良時のまつげパーマはやめる
生理中・生理前後には女性ホルモンのバランスが崩れるため、皮膚の状態が不安定になります。通常であれば炎症が起こらない肌でも、パーマ液の揮発等による刺激を受け、腫れや赤み・痒み等の炎症が起きやすくなるのです。トラブルを防ぐためにも、生理期間中のセルフまつげパーマは避けておきましょう。また妊娠中・出産直後についても生理中と同様にホルモンバランスが乱れやすい時期なので、パーマ液使用は避けてください。このほか風邪等の体調不良時にも肌のバリア機能が弱るため、まつげパーマは避けた方が無難です。
まつげの長さをしっかり測る
まつげパーマによる「まつげの折れ曲がり」を防ぐには、ロットとまつげの長さをキチンと合わせることが大切です。「ほんの1mm程度の違いだから」と小さめのロットで無理をして巻くと先までカールがきちんと作れず、折れ曲がりが目立つことになります。まつげの計測はクレンジング・洗顔をした後に軽くとかした状態で、両目のまつげの長さの「最も長い部分」で測りましょう。
セルフまつげパーマのキットを購入する際には、できれば何種類かのまつげの長さに対応したロットが付属しているセット製品を買った方が安心です。ロット購入時に「自分のまつげの長さに少し合わない」と感じる場合、パーマのかかりはややゆるくなりますが、「ロットの方が少し大きめ」を買った方が失敗は防げます。
仕上がりを考えてロッドを選ぶ
まつげパーマのロッドには、丸い棒状のものと扇形のものがあります。扇状のものは根本の立ち上げをしやすく、棒状のものは毛先のカール感が美しく仕上がるのがポイントです。「目力をしっかり出したい!」「一重・奥二重でまつげが下がりやすい」という人の場合には、根本からまつげが立ち上がる扇形の方が比較的向いています。ただし少し派手になりやすいので、「職場でパーマをしているとバレたくない」という人は要注意です。「できるだけ自然に仕上げたい」「初めてなのでどの程度かかるのか知っておきたい」という人は、ややロッドが大きめのスティックタイプ(棒状タイプ)を選んでおくと良いでしょう。
パーマ前には必ずクレンジング・洗顔を
まつげやまぶたに皮脂・メイク成分等が残留していると、パーマ液がきちんと浸透せずにまつげパーマのかかりが悪くなります。パーマ前には必ずクレンジング・洗顔をし、特に目元(目尻・目頭)の汚れを丁寧に落としておきましょう。
パーマ中のまつげの向きのチェックは一本一本丁寧に
ロッドにまつげをグルーで装着する際には、必ず一本一本の向きをチェックするようにしてください。向きが曲がっていたり、毛先が乱れているような場合には、必ず爪楊枝か専用のスティックで整え直します。またパーマの「1液」を塗布した後にも、まつげの向きを再度チェックしましょう。パーマの形は「2液」の塗布によって決まります。1液塗布時にはキレイだったまつげの形でも、2液塗布時に形が乱れていればその形状でパーマが固まってしまうのです。
パーマ液を皮膚に付着させない
パーマ液を付着させた状態が続くと痒み・かぶれ・爛れといった炎症が起きやすくなります。パーマ液は必ずまつげの根元から1mm~1.5mm以上離した部分から塗布し、皮膚に付着をさせないように気をつけましょう。万一皮膚に付着をさせてしまった場合にはすぐにパーマを中止し、グルーやパーマ液を水でしっかりと洗い落としてください。
セルフまつげパーマは片目ずつ行う
パーマ液やグルーの皮膚への付着・眼球への混入を防ぐためには、施術中のまぶたをしっかりと閉じて動かさないよう固定することが大切です。自分自身で施術を行うセルフパーマの場合、両目の施術を一気に行おうとすると眼球への混入が起きる確率が高くなります。パーマ施術は必ず片目ずつ行うようにしてください。また万一パーマ液が目に混入をした場合には即時にパーマを中止し、精製水等でしっかりと目を洗いましょう。
おわりに
セルフキットの販売によって、一気に身近な存在になった「まつ毛パーマ」。しかしその分、まぶたの皮膚や眼球の重篤なトラブルが起きる件数も増加しています。パーマ中・パーマ後に皮膚の違和感・チクチク感・目の乾燥や痛み等をおぼえたら、すみやかに眼科に行きましょう。まぶたの皮膚の炎症が進むことで、まつげの脱毛症が起きてしまう可能性もあります。「おかしいな」と思ったらガマンをせず、早めに専門家に相談することが大切です。